介護現場において、排泄や入浴などの介助の際に腰や膝を痛める介護士が多くいることは、広く知られている事実かと思います。実際、これが原因で仕事がつらくなり、離職するケースも少なくありません。
身体の損傷を防ぐためには、介助の際に体幹やインナーマッスルを上手く使うことが大事です。しかし、そのスキルや知識を身につけている方でも、毎日忙しく業務に携わっていると、自身の関節や筋肉を気遣う余裕は無くなってしまうものです。
身体を痛めてしまった介護士は、コルセットやサポーターを装着するなどして何とかしのいでいますが、回復してもまた重労働により悪化するという悪循環に巻き込まれているのが現状です。
こんな事態を打開するために、巷では介護用補助用具の導入の必要性が提唱されています。補助用具には、装着すればほんの少し力を入れるだけで重い高齢者の身体を支えられるようなものもあります。加えて、AIを駆使した介護ロボットの開発も急がれており、介護士の肉体的負担を減らすことが大きな課題となっているのです。
また、重労働にも関わらず、賃金が低いことも、介護職の悩みの原因となっています。重労働のうえ低賃金では、介護職を続けようという意欲を高めるのは難しいでしょう。そこで、介護職の収入を少しでも高めようと、処遇改善加算制度が導入されました。特に、現場経験の長い介護福祉士については、特定処遇改善加算が付与され、全産業の平均年収まで引き上げようという試みが実施されています。